はじめに

競技かるたで、仲間と楽しい時間を過ごしてもらいたい。
競技かるたからもらった、たくさんのものに恩返しをしたい。

かるたの競技人口は右肩上がりを続けています。
だからこそ、競技かるたに親しみを持つ子どもたちに
「ずっとかるたを続けていたい」
という夢をもって、強くなっていってもらいたい。
競技かるたを通じて、百人一首の文化に触れ、世界中に友達を作ってもらいたい。

これまで競技かるたの世界を支えてきた皆様と連携し、子どもたちの情熱を応援するとりくみが必要だ――そういう想いから、ちはやふる基金を立ち上げるに至りました。
ご理解、ご協力いただけますと幸いです。

末次由紀

ちはやふる
基金の
とりくみ

かるたを愛する
みんなのために

一. かるたの魅力を世界に発信!

「日本で一番は世界で一番」その先の未来を

およそ800年の歴史を持つ、小倉百人一首。その雅なイメージとは裏腹に、これを用いて行われる競技かるたは、ときに「畳の上の格闘技」とも称される激しいスポーツです。
記憶力、精神力、瞬発力といったさまざまな能力を複合的に必要とする一方で、年齢や性別によるハンデがないため、子どもから大人まで、あらゆる人に幅広く親しまれてきました。
近年、その競技人口は100万人にのぼるとも言われており、2018年にスタートした世界大会や、目の見えない人たちのための「点字かるた」の開発など、かるたの世界はますます多様な広がりを見せています。
私たちはこのように、長い歴史を誇りながらなお一層の可能性に満ちた小倉百人一首と競技かるたの魅力を、もっと沢山の人に知ってほしいと願っています。日本国内に留まらず、世界中の人が日常の中でごく当たり前にかるたと触れ合うようになる、世界各地で試合が行われる。クイーンや名人が、世界中の子どもたちの夢になる。「かるたの日本一は世界一」では決して終わらない、その先の未来を目指して、かるたの魅力を世界に発信していきます。

二. 頑張る選手たちを応援したい!

日本の競技かるた人口はこの10年で約3倍に増加したと言われています。これにともない、選手の皆さんや大会主催者の皆さんには、さまざまな面で負担の増大が余儀なくされてきました。

”選手全員が試合に出られるようにしてあげたい! でも大きな会場を借りられない……”
”遠方からでも試合に出たい! でも旅費が苦しい……”
”大会情報を広く届けたい! でも広報を担える人がいない……”

そこで私たちは、大会運営に必要な資金や運営スタッフの育成・配備、また広報活動等を、大会主催者の皆さんと連携しながら、幅広くサポートしていきます。
またこの第一歩といたしまして2020年2月23日(祝)、京都嵐山文華館で開催される「ちはやふる小倉山杯」にて、優勝選手に賞金100万円を贈呈いたします(この大会には準優勝者以下、出場選手全員に賞金ないし奨励金を出します)。

青春を懸けて競技かるたに臨む選手の皆さんと、その情熱を受け止める大会運営者の皆さんのお手伝いを、今後継続的に行っていきます。


ちはやふる小倉山杯 2020年2月23日開催!

三. かるたの大好きな子どもたちを守り、育てたい!

競技かるたの未来を担う子どもたち。私たちは、より多くの子どもたちにかるたに親しんでほしい、かるたをいつまでも楽しく続けてほしいと願っています。またそのためにも、それが実現可能となるような環境を用意することが務めであると考えています。
今後私たちは、高校選手権を始めとした、子ども向け大会の資金面、運営面でのさまざまなサポートを行っていきます。また、新たな子ども向け・初心者向け大会の拡充に努めます。

なにかを大好きになることで、自分が大好きになれる。競技かるたを通じて、より多くの子どもたちにぜひ、そんな体験を味わってほしいと願っています。

四. かるたファンが仲間に出会える場所を

選手が札を払うダイナミックな腕の動きを、手のひらが畳を打ち付ける力強い音を、ピンと張り詰めた緊張感を、ぜひたくさんの人に観て、聞いて、感じてほしい。競技かるたの楽しさは、実際に競技に臨むことばかりではありません。選手たちの試合を観戦する「観るかるた」もまた、競技かるたを楽しむ方法の一つです。
沢山の人に、かるたをより面白く観てもらうために、私たちは今後、さまざまな試合のオンライン中継を、資金面、技術面でサポートしていきます。
さらに、選手やファンのみなさんのコミュニティ作りにも力を注いでいきます。なぜなら、かるたを愛し、選手を応援するかるたファンを増やすことで、競技かるたの世界を、外側からより力強く支えていくことができると考えているからです。

選手も、ファンも、かるたを愛するすべての人たちが出会い、繋がり、楽しさを分かち合える。そんな場所を作ることが、私たちの務めの一つであると考えています。

五. 「かるたを応援したい」という人への窓口のひとつになりたい

かるたを応援したい皆さんの気持ちをお寄せいただく手段として、今後、個人および企業からの支援の受付、ちはやふる基金オリジナルグッズの販売、また「かるたサポーター制度」の創設を計画しています。※2020年2月開始を予定。

ちはやふる
基金に
寄せられたメッセージ

このたびの「一般社団法人ちはやふる基金」の設立にあたり、お祝い申し上げます。

貴基金の定款目的に「競技かるたと小倉百人一首の普及振興を主とし、競技かるたを通じて青少年の心身の健全育成に寄与するとともに、競技かるたと小倉百人一首に親しむ文化の醸成を目的とする」と掲げてあり、その目的に資するための事業を国内のみならず海外においても行うとの事で、まさに私ども協会の目的と多くの重なる部分があり、まことに有り難く今後とも手を携えて行きたく存じます。

近年のかるた競技人口はまさに右肩上がりに増え続けています。これも末次先生の執筆された人気漫画「ちはやふる」によるものと大変感謝いたしております。
先生の「競技かるたを通じて、百人一首の文化に触れ、世界中に友達を作ってもらいたい」の思いを心よりうれしく存じます。

競技かるたの世界を百数十年継続していただいた諸先輩を始め、現競技かるた協会の役員・選手諸君に「ちはやふる基金」の設立を報告し、基金の受け入れに対しては可能な限りその趣旨に沿ったものにしたいと思います。

一般社団法人全日本かるた協会
           会長 松川英夫

この度はちはやふる基金の設立、誠におめでとうございます。

「選手の皆さんが末永く競技かるたを続けられるように、また子供達が情熱をもってかるたに取り組めるように応援したい。百人一首という素晴らしい文化を広めていきたい」という末次先生の思いは、漫画『ちはやふる』からも明確に感じとれます。

しかし、そういった「思い」を実際の「行動」に移すには大変なパワーが必要で、普通はそこに大きな壁があるものです。
その壁を乗り越え、基金という形で実現されたことに対して、深い感動を覚えました。末次先生をはじめ、関係者の皆様に敬意を表します。

私たち公益財団法人小倉百人一首文化財団は、嵯峨嵐山文華館での展覧会やイベントを通じて百人一首を広めることを目的のひとつに掲げ、日々活動しております。今後はちはやふる基金の皆様とも密に連携し、より多くの皆様に百人一首、そして競技かるたに親しんで頂き、文化の継承と啓発に努めて参りたく存じます。

末筆となりましたが、ちはやふる基金のますますのご発展をお祈り申し上げます。

公益財団法人小倉百人一首文化財団
嵯峨嵐山文華館 館長 川畑光佐


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